2005-02-04 ■ 小説 キック キック トントン きっく きっく とんとん 寒い夜、太郎はうどん屋の前でのっぽの姉さんと、 やせと太っちょのお兄さんの3人を待っていました。 まだか、まだかと手袋をかぶせた小さな手を、 口にあてて眺めていました。口から出した息の白さで 初めて月明かりに気付きました。 こんなに明るいんだったら自分の影も映るかな 自分の影を動かして遊んでいる太郎を、やがて 不揃いに長く伸びた三つの影が、優しく重なり合い ながら包んでいきました。