カフカのように孤独に (平凡社ライブラリー (265))

カフカのように孤独に (平凡社ライブラリー (265))

 ようやく、『城』を再読できた。しかし、明らかになったのは、以前
読んだ時、おそらく通読できていなかったということだ。最後の
数十ページについて、まったく記憶がない。それもそのはず。
『城』を読んだのは、バイクの大事故で死にかけて、入院した
先だった。軽度の医療ミスと虐待を受けながら、城と病院を
重ね合わせていた。その頃の手記を読むと今でも泣ける(笑)。

 『カフカのように孤独に』。ひょんなことから知り合った人に
教えてもらった、カフカについての本。暇ができたら読んでみたい。

そのとき、Kは、これで他人とのあらゆるつながりが断ち切られ、もちろん、自分はこれまでよりも自由な身になり、ふつうなら入れてもらえないこの場所で好きなだけまっていることができる。
そして、この自由は、自分が戦いとったもので、他人にはとてもできないことだろう、いまやだれも自分にふれたり、ここから追いだしたりすることはできない、それどころか、自分に話しかけることもできまい、とおもった。しかし、それと同時に、この確信もおなじくらいつよかったのだが、この自由、こうして待っていること、こうしてだれからも干渉されずにいられること以上に無意味で絶望的なことがあるだろうかという気もするのだった。

cf<お役所の決済は、若い娘っこの返事のように煮えきらない>

今回読み返して気づいたのは、これに加えて、モードが決め手
になるのかもしれないということ。女性の服飾に対する造旨、
あるいは流行に対する理解が、権力に立ち向かうための鍵、か。